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ワーキングメモリはいかにして意識的なふるまいを生じさせるのか?7

 ワーキングメモリがしていることは、単純化して言えば「情報の統合」という、ただそれだけのことだ。

 複数の情報を一箇所に集め、統合すること。ただそれだけ。

 けれどこの単純な操作は重大な結果を生じさせる。

 何と言ってもワーキングメモリは意識発生に一役買っているのだ。

 問題はこの単純な仕掛けがなぜそれほどの効果を持つのかという点だ。

 今回確認できたのは、ワーキングメモリによって現実と虚構の区別をつけることができるようになる、ということだ。

 これは逆に、ワーキングメモリがなければ現実と虚構の区別をつけることができない、と言った方が表現としては適切かも知れない。

 現実と虚構の区別は一般的に考えた場合物事がどうあるかという「常識的な見解」と、「現に今起こっている出来事」が食い違っているかどうかという異常検知をもとにしたものだからだ。

 異常を検知するためには「普通」ならどうあるかという情報と、現に今起こっている「実際」の事態を同時にモニターする必要がある。

 ワーキングメモリーはその、異常を検知する(現実と虚構を区別する)ために必要な「『常識』と『実際』の同時のモニタリング」を可能にしている。

 そして、意識の機能のひとつとして数えることのできる判断留保の起源が現実と虚構の区別にあり、現実と虚構の区別の起源が「『常識』と『実際』の同時のモニタリング」にあるために、それを可能にしているワーキングメモリは実質、意識の根拠になっている。

 これが、ここまでの話を統合して言えることだ。

 

 実は、ワーキングメモリが意識発生に寄与する理由はもうひとつある。

 これを説明するためにはもうひとつ追加実験をした方がわかりやすい。

 これについては次回。